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チャリティー展に想いを託して ~上野昭一様のコレクション展を見て~

チャリティー展に想いを託して ~上野昭一様のコレクション展を見て~



初夏の気配も濃くなった5月下旬、あるチャリティーイベントがギャラリーユニグラバス銀座館で開催されました。
出展者は、シルクランド画廊にもたびたびお越しくださる上野昭一様。
お仕事をリタイア後、お酒との縁を断つかわりに美術愛好家に変身なさったコレクターです。
画廊や美術館、骨董市など関東一円を根気よくまわられ、シルクランド画廊でお求めになった作品も、工芸品とのさまざまな組み合わせをなさって楽しんでこられました。

今回、「掘り出し物市」と題する企画に至ったのは、3月の東北大震災がきっかけ。
被災した方々の心労を思えば「些少の志だけでは到底心やすらぐものではないため」、すでに将来の預け先まで決めていた約500点もの蒐集品を、いま手放そうと決断なさったそうです。

展示会初日、陶器や絵画、小物などがぎっしり並んだ会場で、上野様は笑顔でした。
どこで入手し、どのように飾ってきたかなど、ひとつひとつに鮮明な記憶がおありで、長年のコレクター生活を心から楽しんでこられたことと、企画した上野様の温かな気持ちがじんじん伝わってきました。

2008年の四川大地震の直後には、私どもも作家たちが中心となったチャリティー書画展に携わりました。
ホテルニューオータニなど各界のご支援も受け、被災地支援のために一丸となって汗を流したことは忘れられない経験です。
そして今回、上野様が個人コレクターという立場から考え、すばやく行動なさったことは、私個人の心を強く揺さぶるものでした。
数年前にお寄せいただいた手記には、お酒をやめて目を向けた美術鑑賞の世界は「生涯の楽しみ」だとあります。
今回の出展では、そんなご自分の想いだけではなく、他者を思いやるために自分の大切なものを生かす、という選択を見せてくださいました。
コレクションのあり方についても考えさせられましたし、会場で普段と変わらない上野様の飾らないお人柄が、いつにも増して温かく尊いものに感じられ、絵を 扱う者として、美術は決して無力ではないことを改めて確認できた喜びに満ちた一日となりました。

 

2011年6月

シルクランド画廊 顧 定珍


 


顧 定珍 の声 / シルクランド画廊